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電脳千句第五 賦青何連歌百韻 三折表  2014.6.25―

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   醍醐なる仏の教へ清明に            梯

    遙か御空にあふぐ塔(あららぎ)       月

   さびしさに呼べどつれなきみやこどり     草

    にほひゆかしくひらく巻紙           風

   逢ふことも今はかなはぬ君をこそ       舎

    声をちこちに忘れやはする          香

   睦言のよみがへりくるしののめに        歳

    うつろふことを知らす冬霧            花

   神無月つはもの一人逸れしむ          衣

    国の境を越えて帰らず              梯

   横笛の幽かにむせぶ築地うち          月

    ししかくまかと老のしはぶき           草

   しぐるれば如何にと翌のもみぢ狩        風

    寝覚めがちなる奥山の秋            歳

                                    <進行表はこちら>


コメント(55) 

コメント 55

羽衣

藤浪薫る流れ幾筋  は真っ当過ぎましたでしょうか? それとも問題あり?
一応 一押しでしたので・・・

宗匠さまのご解説がどうしても呼び出せません~

by 羽衣 (2015-01-17 22:05) 

連歌楽歳

羽衣さま
「藤浪薫る(さわぐ)流れ幾筋」とありましたので、「波騒ぐ」『流れ幾筋」とつながりやすいので、さわぐの方を載せました。「薫る」のほうがよろしければ、ご連絡ください。変更します。その他の句の、構成要素等についてのメモは、先の2折裏のコメント欄末尾をご覧ください。では、では。

by 連歌楽歳 (2015-01-17 22:44) 

連歌楽歳

夢梯さまから次の付を頂きました。
<二折裏14>治定
  形見なるらむかの桜狩り

<三折表1>付け
  醍醐なる仏の教へ清明に        夢梯
  太閤も夢のまた夢春の果
  春の峰辿り辿れば朽ちし庵
  春の峰同行二人檜の木笠
  春の水とくとく溢れ檜の木笠

by 連歌楽歳 (2015-01-22 14:10) 

連歌楽歳

 醍醐なる仏の教へ清明に        夢梯
春 清明は二十四節季の一つで、春3月の節。釈教 醍醐寺はいまでは世界遺産の名所

 太閤も夢のまた夢春の果
春 太閤は官位であるが、夢のまた夢と結んで秀吉を指す固有名詞となり人倫 ここの夢は非夜分

 春の峰辿り辿れば朽ちし庵
春 山類体 居所体

 春の峰同行二人檜の木笠
春 山類 同行二人のうち一人は人間なので人倫 

 春の水とくとく溢れ檜の木笠
春 水は水辺用 


by 連歌楽歳 (2015-01-22 14:33) 

如月

楽歳様、ご連衆の皆様、
長らくお時間を頂戴いたしまして、申し訳ございませんでした。寛容なるお心に感謝申し上げます。皆様お変わりなくお過ごしでいらっしゃいましたでしょうか。
羅馬の地では日中気温12度~16度という温暖さでして、厳寒の季節というのに、レストラン前の舗道に設えられたテラス(さすがに周囲は透明の布で囲まれてはいましたが)で夕食を取る人たちもいるほどでした。さすが南欧! おかげで体調よく過ごしておりましたが、飛行機が成田上空に戻ってきたところ咳の発作に襲われて驚きました。私の喉は日本の空気が合わないようです! こちらの寒さに震えておりますが、雪に見舞われた今朝の寒さは格別ですね。
さて、夢梯さまのお句に、以下のように拙句を付けさせていただきました。
 
 醍醐なる仏の教へ清明に        夢梯

(醍醐は妙なる味わいという意味で取らせていただきました。もちろん醍醐寺へとつながってゆくものと思います。)
 
 拙付

  襞ゆるやかに尼削ぎの衣       如月
  よもぎがしまに睦む亀どち
  遙か御空にあふぐ塔(あららぎ)
  捧げし碗(椀? まり)に翡翠(かわせみ)の彩
  

いつもながらの拙さに恐縮するばかりです。一直あるいは作り直しのご指示など、よろしくお願い申し上げます。  
                      如月

  
  

 
by 如月 (2015-01-30 14:03) 

連歌楽歳

  襞ゆるやかに尼削ぎの衣        如月
雑 尼削ぎはヘアスタイルで人体 衣は衣類

  よもぎがしまに睦む亀どち
雑 よもぎがしまは蓬莱山の別称。島か山か迷うところですが、「音に聞蓬か島による波のまたみぬ中に立うき名かな」(前大納言実教)の歌がある事から、島(水辺体・山類体)としましょう。亀も悩ましい生き物で、一条兼良『連珠合璧集』は亀を貝類に分類しています。いま顧みれば珍妙な分類ですが、といって虫類や獣類とするのも変です。貝類には式目上の縛りがありませんので(多分打越は嫌うでしょうが)、貝類ということにしておきませんか。

  遙か御空にあふぐ塔(あららぎ)
雑 空は天象(連歌の分類では天象と気象は別枠です) 塔を斎宮の忌詞・スラングで「あららぎ」というと初めて知りました。

  捧げし碗(椀? まり)に翡翠(かわせみ)の彩
雑 鳥類 まりは椀でいかかが? 「彩」の読みをお知らせください。

by 連歌楽歳 (2015-01-30 21:16) 

如月

 千草さま、
 今回もお待たせいたしてしまいまして、申し訳ありませんでした。お直しなどよろしくお願いいたします。
 宗匠さま、
 コメントありがとうございました。拙付がアップされないので、私の操作が間違っていたのかと不安でした。メールでお騒がせしてしまいまして恐縮です。
 亀が貝類とは! 面白いですね。
 椀のほうの字でということ、了解いたしました。
 彩は「いろどり」の意味で用いましたが、読み方は「いろ」ではなく、「あや」にしたいと思います。なお、翡翠は鳥そのものを言っているのではなく、カワセミの色ということなのですが、それでも鳥類に分類されるのでしょうか。
 なお、尼削ぎは「人体」ということですが、尼削ぎの髪をした尼さんそのものを指すことはできないでしょうか。できれば尼さんの意と取っていただけるとありがたいのですが。もし可能としたら、その場合は「人倫」ということになるのでしょうか。
 また、「人体」と「人倫」の打越は許容されるのでしょうか。夢梯さんの「太閤」のお句は「人倫」というコメントがありますが、もしこれをいただいた場合は、打越の「人体」(頤の髭)に障るということになるでしょうか。それが気になりました。

by 如月 (2015-01-30 23:03) 

連歌楽歳

如月さま

翡翠を「かわせみ」と読めば鳥の心、「ひすい」とよめばその青い色の意味が強まりますが、「ひすい」は連歌の嫌う音読みになってしまいます。「かわせみ」は俳諧の時代以降、夏の季語とされてきました。しらべた限りでは、連歌では翡翠を読んだ句は見当たりませんでした。「かわせみ」としておいて、鳥・無季に分類し、その色のイメージの濃淡は読み手に任せることでいかかでしょうか?

「尼削ぎ」は「尼のように垂れ髪の先を顎・肩のあたりで切りそろえた髪」と定義され、「この春(姫君三歳)より生はす御髪、尼削ぎの程にて、ゆらゆらとめでたく」(源氏・薄雲)と『岩波古語辞典』にあります。このヘアスタイルは尼に限らなかったようです。人体にしておいて、ヘアスタイルの向こうに何を見るかは、これまた読み手にお任せしましょう。

人倫と人体は一条兼良『連珠合璧集』では別分類です。人倫と人体の打越が障るという意味のことは『連歌新式』にも書かれていません。新式は人倫と人倫の打越を嫌うとしていますが、連歌の時代でも人倫を3句続けた例があります。現代の連句は、天象と気象をひとくくりにしているように、人倫と人体(肢体)もまた同じジャンルに収容しています。しかし現代連句が人倫の打越を嫌っている気配はありません。

by 連歌楽歳 (2015-01-31 13:20) 

千草

如月様
お帰りなさいませ。羅馬のお話もっともっとお聞きしとうございます。
お咳はもう良くなっておられますように。

ご帰国後早速に付けられました中より

   遙か御空にあふぐ塔(あららぎ)  如月

こちらをいただきます。
塔(あららぎ)が斎宮忌詞であると楽歳様の御教示もあり
いつきのみやとして伊勢にお仕えなさる立場の方が御寺のことを
言い換えられたゆかしさを思いました。
はしたない申しようではありますが、現在では
業界用語とでも申せましょうか。

付け
   あさましき夢かとけさのまぼろしに

   さびしさに呼べどつれなきつばくらめ

   起きつ寝つ母の涙のこひしかり

   古のためしと結ぶ関の松

   五十瀬(いせ)わたる川にしあれば旅衣

付け
   
by 千草 (2015-02-01 09:17) 

連歌楽歳

   あさましき夢かとけさのまぼろしに
雑 けさは2句もの(けさ1、朝=あさ1) 時分 ここの夢は非夜分

   さびしさに呼べどつれなきつばくらめ
春 燕は春・鳥類(『連歌新式』は燕について触れていませんが、江戸時代の『産衣』は燕を1句ものに指定。ご参考までに)

   起きつ寝つ母の涙のこひしかり
雑 人倫 涙は『連珠合璧集』では恋の詞に分類されていますが、母恋はいわゆる恋の句とは趣きのことなるもの。涙と涙は7句隔てる。余談ですが、「こひしかり」を「こしひかり」と誤読して、一瞬、息をのみました

   古のためしと結ぶ関の松
雑 古は一句もの 松は木類 松と松は7句隔てる 旅 「磐代の浜松が枝を引き結び真幸くあらばまた還り見む」(有間皇子)以来、旅のげん結び 関は山類体 『奥の細道』歌仙「さみだれを」の「松むすびをく国の境め」(曾良)の類句 3句前に桜(木類)が出ていますので、とりあえず外します。修正案があればご連絡ください


   五十瀬(いせ)わたる川にしあれば旅衣
雑 五十瀬・川は水辺体 旅 衣類 おそらく「いせわたる川は袖よりなかるれはとふにとはれぬ身はうきぬめり」(いせ・後撰和歌集)の本歌取り

by 連歌楽歳 (2015-02-01 14:22) 

千草

楽歳様

「こひしかり」と「こしひかり」ってそっくりでございます。
笑ってしまいました。

関の松は桜狩を失念しておりました。
羽衣様、お許しを。
この付けは、松以外にできませんし
気に入ってもいますので、修正しないで
別のところで、タイミングがあえば二度目のお勤めに出してみることに
いたします。

by 千草 (2015-02-01 15:36) 

如月

 千草さま、
さっそくの治定ありがとうございました。
私とは大違いの、素早い付をなさり、感服するばかりです。実は私も最初の一瞬、コシヒカリと読んでしまいました(ウフフ)! どなたもお好きでしょうが、やはり私も一番好きな銘柄なものですから。
お陰様で咳は帰国時の発作めいたものだったようで、今は全く問題ありません。ご心配いただいて恐縮いたしております。

 宗匠さま、
順序が逆になってしまいました。反応が遅くて申し訳ありません。翡翠の色のイメージについても、尼削ぎの向うに誰を見るかについても「読み手に任せましょう」というご教示、身に沁みました。ほんとうに、それが連歌・連句の醍醐味でしたのに、つい忘れていたことに気づかされました。また、人体と人倫についての詳しいご説明も、ありがとうございました。毎回、たくさん勉強させていただいております。
by 如月 (2015-02-02 00:32) 

梢風


さびしさに呼べどつれなきつばくらめ     千草

   付

 船ゆく方や愛の古巣も             梢風
 にほひゆかしく零す巻紙            〃
 うはなりうちに耐へし朝は           〃

昇殿の間のみやびごとを覗いているような心持ちです。つばくらめの落とし物のような付句になっていなければよいがと念じます。楽歳様よろしく御吟味下さい。 梢風
by 梢風 (2015-02-05 14:59) 

連歌楽歳

 船ゆく方や愛の古巣も             梢風
雑 船は水辺用 状況がつかめないので、解釈は付け句の方にお任せします。

 にほひゆかしく零す巻紙 
雑 巻紙から床しい匂いのする何かがこぼれ出たのか、何か(前句はツバメ)がゆかしい匂いのもを巻紙の上にこぼしたのか、それとも、別の意図があってのことなのか、これもまた付け句の方にお任せします。
           
 うはなりうちに耐へし朝は
雑 「うはなりうち」は辞書によると「後妻打ち」。といってもワイフビーティングではなく、前妻とその仲間が後妻を襲撃すること。朝は2句もの(けさ1、朝=あさ1)ですが、「あした(朝)」にはなぜか縛りがありません。前句とはうって変わったにぎやかさです。

by 連歌楽歳 (2015-02-05 18:09) 

蘭舎

梢風さまの
にほひゆかしく零す巻紙 

謎めいていますが、乏しい想像をめぐらせ、数うちまして・・・楽歳さまのご吟味と、お次の方へのつなぎを宜しくお願い申し上げます。

 定めなき昔がたりを繰り返し     蘭舎
 玉章におもかげ偲ぶねむらさき
 独寝の今宵も更ける松の聲
 逢ふことも今はかなはぬ君をこそ
 人知れずいつしか朽ちむ名こそ惜し 
 



by 蘭舎 (2015-02-05 20:36) 

連歌楽歳

 定めなき昔がたりを繰り返し           蘭舎
雑 昔は1句もの 昔は述懐(昔がたりとあれば述懐そのもの) 「さだめなき」はしばしば時雨と結ぶ言葉で、下5の「繰り返し」とほどよい関係がありそう

 玉章におもかげ偲ぶねむらさき
雑 玉章の玉の字は4句もの おもかげは恋の詞(面影は2句もの、只1、花月などに1) ねむらさきは根の紫で染料の植物、草類 恋の句でしょうね

 独寝の今宵も更ける松の聲
雑 ひとりねは4句もの、恋 宵はなぜか新式では非夜分ですが独寝の方で夜分 松は木類 松の聲は「待つの恋」と語呂あわせなので、5句前に桜がありますが、四の五のいわず、知らんぷりでいきましょう。

 逢ふことも今はかなはぬ君をこそ
雑 ばっちり恋の句 君は人倫

 人知れずいつしか朽ちむ名こそ惜し
雑 人知れずで人倫 「恋すてふわが名はまだき立ちにけり人知れずこそ思ひそめしか」「恨みわびほさぬ袖だにあるものを恋にくちなむ名こそ惜しけれ」と百人一首にあるので、やはり恋の句なのでしょうね。 

by 連歌楽歳 (2015-02-05 23:40) 

連歌楽歳

お詫びとお願い

つばくらめの句は春で、2折裏14に桜狩りの春の句があり、春と春は7句隔てるという大原則に反することになります。あらかじめ声をかけることを失念した楽歳の手落ちです。お詫びします。そこで梢風さまにお願い。つばくらめ以外の句で、うまくおさまりそうな句を選び直していただけませんか。

by 連歌楽歳 (2015-02-06 00:07) 

梢風

はいわかりました。いつも楽歳様の極楽車にのっかって楽しませて頂いております。前句、又自句も含めて調えます。明日までお待ち下さい。それにしても蘭舎さんなんと早い! お蔭でりゃんめん待ちの句を考えねばなりません(あ、これは連歌的な言い方ではありませんね)。お休みなさい。
by 梢風 (2015-02-06 00:28) 

千草

極楽車便乗組の責任を感じまして
つばくらめをみやこどりにしたらいかがと
思いましたが、きっと季の詞ですね。
さ野つ鳥というのもありますが、人の近くにいますかどうか。
なにぶん、よろしう。




by 千草 (2015-02-06 08:54) 

梢風

「つばくらめ」が「みやこどり」に変わりましたか。つばめだから“落とし物”
が利いていたかと思いますが、「巻紙の香のにほひゆかしく」でしょうか。

 さびしさに呼べどつれなきみやこどり    千草

   巻紙の香のにほひゆかしく        梢風
        
 定めなき昔がたりを繰り返し         蘭舎
 玉章におもかげ偲ぶねむらさき
 独寝の今宵も更ける松の聲
 逢ふことも今はかなはぬ君をこそ
 人知れずいつしか朽ちむ名こそ惜し 


by 梢風 (2015-02-07 10:27) 

連歌楽歳

  <3折表とり直し>

3表3 さびしさに呼べどつれなきみやこどり    千草
 同4 巻紙の香のにほひゆかしく         梢風
 同5        
    定めなき昔がたりを繰り返し         蘭舎
    玉章におもかげ偲ぶねむらさき
    独寝の今宵も更ける松の聲
    逢ふことも今はかなはぬ君をこそ
    人知れずいつしか朽ちむ名こそ惜し 

3表3の「みやこどり」は現代連句では冬の季語とされています。角川版『図説俳句大歳時記』の考証では、都鳥を連歌で冬の季詞としたのは16世紀末の『無言抄』が最初。それ以前はというと、

 文安月千句 第六
1 名にしあふやこよひの月の都鳥
2 旅行雁の我おもふ友
3 峰の雲野原の露に宿かりて
4 みるみるおしき花の春雨
5 けふ桜かり路の末のくるる日に
6 過るあらしの跡そのとけき
7 夜の色かはる霞の棚引て
8 きのふ迄こそ冬の空なれ

発句で「都鳥」が無季の鳥として使われています。文安月千句は室町連歌最盛期の15世紀中ごろの作品です。それにしても、秋3、春5でおもてを埋め尽くした豪胆さ。中世連歌師のバイタリティーが伝わってきます。そういうわけで、

 さびしさに呼べどつれなきみやこどり

は、雑の句として無事パスしました。

次に、

さびしさに呼べどつれなきみやこどり    千草
巻紙の香のにほひゆかしく         梢風

この組み合わせは伊勢物語の隅田川渡しのおもかげになり、「わがおもふひとはありやなしやと」が隠された恋の句の呼び出しとして働き、3表5の恋の句(既出)へとつながります。

ところで、

 巻紙の香のにほひゆかしく

は「香」と「にほひ」がだぶっていますので、原句の、

 にほひゆかしく零す巻紙 

を少々変えて、

 にほひゆかしくひらく巻紙

でいかがでしょうか? 修正のご希望があればご連絡を。

以上、どうも、ありがとうございました。お疲れさまでした。

では、遊香さま、どうぞ。

by 連歌楽歳 (2015-02-07 20:03) 

遊香

遅くなりました!

蘭舎さまの
逢ふことも今はかなはぬ君をこそ

いただきまして 
付け

まどろむ耳に小舟漕ぐ音  遊香
寄りそふすべや火影ゆらゆら
声おちこちに忘れやはする
せきあふ涙限りあるべし

楽歳さま よろしくお手直しくださいませ!


by 遊香 (2015-02-10 17:54) 

連歌楽歳

 まどろむ耳に小舟漕ぐ音       遊香
雑 まどろむは夜分 耳は人体 舟は水辺体用外ですが「小舟漕ぐ」となるとそうでもないかも
 
 寄りそふすべや火影ゆらゆら
雑 淡い燈火を持つ人が揺れて近づいてくる状況でしょうか。夜分 恋の句でしょうね 

 声おちこちに忘れやはする
雑 「有馬山猪名の笹原風吹けばいでそよ人を忘れやはする」の下七を引用した恋の句

 せきあふ涙限りあるべし
雑 涙は恋の詞 「せきあふ」は下2段活用で連体形は「せきあへる」となります。「せきがたき涙の雨のみ降りまされば」(源氏・幻)と「せく=塞く」の用例にあるので、これを利用して、

 涙の雨のせきがたき宵
 宵は非時分 涙の雨の雨は非降り物 あたりでいかが?


by 連歌楽歳 (2015-02-10 23:46) 

遊香

楽歳さま 
ありがとうございました!
「せきあふ」を意味としてはつかってみたかったのですが、
その用法がよくわからずにおりました。
「涙の雨のせきがたき宵」…すてきな句にしてくださって
ありがとうございます。


by 遊香 (2015-02-11 09:16) 

連歌楽歳

 声をちこちに忘れやはする 遊香

を頂いて、3つ目の恋の句を、

 歌垣で集ひしうちに契りけり
 睦言のよみがへりくる東雲に
 黒髪に霜置くまでの仲なれば

   *
歌垣で集ひしうちに契りけり
雑 歌垣・契で恋

 睦言のよみがへりくる東雲に
雑 睦言で恋 東雲は時分(朝)と夜分の2説あり

 黒髪に霜置くまでの仲なれば
雑 句意は恋 髪は人体 この「霜」は降物・冬に非ず

by 連歌楽歳 (2015-02-11 14:21) 

路花

楽歳さま
百韻の流れを楽しく拝読させていただいていますが、自分で作るとなると本当に難しく、折角の作品に傷をつけているのではないかと心配になっています。
先日、拙作をお送りしたのですが、またまたPCのご機嫌でうまく送信できなかったのか不安になりましたので、再度お送りします。

楽歳さまの
  睦言のよみがへりくる東雲に
をいただきます。冬になってしまったのですが、より惜しいでしょうか。どうぞよろしくご指導くださいませ。

うつらふことを知らす寒靄
引き裂くやうな凍鳥の声
わが身の老いを覚ゆ底冷え
by 路花 (2015-02-16 08:33) 

連歌楽歳

 うつらふことを知らす寒靄
寒靄(かんあい)は俳諧の季語で冬、降物。「うつらふ」は「うつろふ」の誤植でしょうか? ご連絡お待ちします。

連歌は通常、和語を用いて漢語を排除しますが、各句に漢語をちりばめた畳字俳諧連歌も試みられていました。ちなみに宗祇の「畳字誹諧連歌独吟百韻」の初折表は以下の通りです。
               
 ①  花にほふ梅は無双の梢かな    
 ②  柳の眉目はげに今の時     
 ③  春の夜はかすみを月の規模として 
 ④  雪の余残をやまにこそみれ   
 ⑤  いくつらも唯一篇に帰る雁    
 ⑥  旅の数日のそでぞしらるる   
 ⑦  風待て逗留したる湊舟      
 ⑧  苫やの雨中おもひこそやれ

「寒靄」をそのまま生かし俳諧句として入れることも考えました。ですが解釈改憲の手法と同様、通路がとめどなく拡大する懸念がありますので、ここのところは寒靄→冬霧と変えることで妥協ねがいます。連歌の場合、春は霞、秋は霧が相場で、「靄」の使用例はデータベースでも見かけませんでした。


引き裂くやうな凍鳥の声
冬 凍鳥(いてどり)は和語ですが、「とうちょう」と読まれないように「凍て鳥」とつづりを変えましょう。鳥類 引き裂くやうな、とはツルの一声でしょうか。そこまで考えたとき、ちょうど5句前に「みやこどり」がいることに気がつきました(鳥類と鳥類は5句隔てる)。「鳥に雲」と申しますので、「引き裂くやうな風の凍て雲」(風は吹物、雲は聳物)とし、前句の「東雲」と雲の字が続きますので(同字は5句隔てるならい)、東雲をしののめとかな書きにしましょう。

わが身の老いを覚ゆ底冷え
冬 底冷えは俳諧の季語から転用 我が身は人倫 老いは2句もの(只1、鳥木などに1) また「老い」は述懐の言葉 昔々、大学の英文読解で読んだ本の一節。「(大陸)ヨーロッパ人のベッドには愛があり、イギリス人のベッドには湯たんぽがある」。書いた人はハンガリー出身のジャーナリストでした。「覚ゆ」は下2活用で連体形は「覚ゆる」となり、現在の形では「わが身の老いを覚ゆ/底冷え」と切れることになります。


by 連歌楽歳 (2015-02-16 15:59) 

路花

楽歳様
ご指導ありがとうございます。
「うつろふ」は「うつらふ」の間違いです。
「寒靄」については全く知らないことでしたので、興味深く学ばせていただきました。「畳字俳諧連歌」勉強になりました。
「冬霧」「風の凍て雲」にお直しいただけてほっといたしました。
どうぞよろしくお願いいたします。
by 路花 (2015-02-16 18:36) 

羽衣

今朝は春の淡雪が降りましたようでございますが               皆さまにはご清吟のこととおよろこび申し上げます。又、         宗匠様 お世話になります。この度は宗祇独吟畳字俳(言偏で出せませんでした言非)諧連歌の初折表 ご教示いただき有り難うございました。畳字とは踊り字(同字重ね)及び同意重ね?又はそれ以上の漢語OKでしょうか?大変よさそうに思えましたが矢張り俳諧というものになってしまうのですね~宗祇さんもなさりたかったんだ~と思ってしまいましたが~                     
                                               うつらふことを知らす(冬霧)    路花さま   頂きました

      付け
 冴え侘ぶる(冴え渡る)庵のほとりの雪げ(気)川 
 世捨て人寒きに榾(ほた)をくべさせて
 神無月(かみなづき)(神の留守)つはもの一人逸れしむ(はぐれさせ)
 狼(おほかみ)をまつる猟男(さつを)の山枯れて(の息白く)
 燃え尽きて(燃えもえて)榾木は終に灰となり 
 忘らるる木の下もみぢ(紅葉)野(火)に焚かれ


  ()が多くすみません。漢字 仮名 季語などもろもろ ご指導の程
よろしくお願いいたします。



   

 
by 羽衣 (2015-02-17 14:53) 

羽衣

皆さま 宗匠さま
只今 送信致しましたら 行が乱れており大変失礼致しました。
番号を入力してから見直し その時はOKだったのですが 誠に申し訳なく存じます。 また路花さま本当にごめんなさい。

  うつろふことを知らす冬霧     路花さま   頂きました


誠に無調法にてご寛容の程 よろしくお願い申し上げます。
by 羽衣 (2015-02-17 15:21) 

連歌楽歳

このブログ、たまに、理由なくつながりにくくなったり、文字列が乱れたりします。なにぶん無料で使わせてもらっていますので、じっとがまんです。

       *

 冴え侘ぶる(冴え渡る)庵のほとりの雪げ(気)川 
冬 冴え・雪げ 居所 川は水辺 雪気=雪の降りそうな模様、雪消=雪が消える。「冴え(名詞で透明なまでの寒気)+侘ぶ(動詞、身にこたえやりきれない)」と「冴え渡る」(複合動詞)のどちらが良いか、選択を迫られても困ってしまいます。①誰かが寒気を侘びている、その庵のほとりに雪模様の川がある」という景色と、②「庵のほとりの雪模様の川には氷が張りつめている」という景色の選択になるでしょう(さえわたる=一面に凍りつく。「池の、ひまなう氷れるに、『さえわたる池の鏡のあやけきに見なれし影を見ぬぞ悲しき』」)(源氏・賢木)。②の方が叙景の仕方がシンプルで、その分風景としてクリアだと、楽歳は感じます。

   冴え渡る庵のほとりの雪気川


 世捨て人寒きに榾(ほた)をくべさせて
冬 寒き 世捨て人は僧または隠者で釈教・人倫 榾は燃料、非木類 

 神無月(かみなづき)(神の留守)つはもの一人逸れしむ(はぐれさせ)
冬 神無月 つはものは人倫 語呂と字面の映りがの良いのは、

神無月つはもの1人逸れしむ

 狼(おほかみ)をまつる猟男(さつを)の山枯れて(の息白く)
冬 狼は獣類、山枯れては山類、いずれも冬の季語になったのは俳諧の時代から 「息白し」が冬の季語になったのは明治以降のようです 猟男は人倫 なお、おおかみ=大神(神祇)でもあります

 おほかみを祀る猟男の山枯れて

 燃え尽きて(燃えもえて)榾木は終に灰となり
冬 榾の火 燃え尽きて→灰、では当たり前に過ぎるので、冬霧にうつろひをしる、その盛衰感を映して、

 燃えもえて榾木は終に灰となり 

 忘らるる木の下もみぢ(紅葉)野(火)に焚かれ
冬 木の下もみぢ 木類 野は地儀 「もみじ火に焚かれ」はお湯を沸かすと同様、もみじ焚かれて火となる、ということでしょうが、ちょっと抵抗感がありますね。紅葉の落ち葉は林を連想させ、野に焚くとなれば、いささかの距離感が出ますが、辞書によると、野は山麓の傾斜地などもいうそうですから、ぽつんぽつんと木が生えていても不思議ではありません。

 忘らるる木の下もみぢ野に焚かれ

   *
冴え渡る庵のほとりの雪気川
世捨て人寒きに榾(ほた)をくべさせて
神無月つはもの1人逸れしむ
おほかみを祀る猟男の山枯れて
燃えもえて榾木は終に灰となり
忘らるる木の下もみぢ野に焚かれ

こうして眺めると、想像を刺激する句が多いです。この中から一つを選ぶ方は、きっと、アミダで決めるのでしょうね。


by 連歌楽歳 (2015-02-18 01:03) 

羽衣

ご丁寧なご教授誠に有り難うございました。実は 燃えもえて を

  燃えさかる榾木は終に灰となり

と改めたくよろしくお願い致します。

でも榾木とは いったい燃え盛るもの?

  じんわりと燃えて榾木は灰となり  と云いたいのですが俳諧ですね

お任せ申し上げます!ありがとうございました!





  







by 羽衣 (2015-02-18 02:45) 

連歌楽歳

畳字連歌では各句に漢語が使われます。俳諧連歌と称していますが、句そのものは古典連歌と同じ風雅のトーンです。句意そのものが風狂である俳諧と、和語だけで風雅を連ねる古典連歌との中間的存在でしょうね。

榾は漢和辞典では「切り株」。日本語辞典では薪と同義語。切り株の意味もあります。また、材木風の大きなものも榾です。たとえばシイタケのほだ木つくり。したがって、榾が薪能程度に燃えさかってもOKでしょう。

by 連歌楽歳 (2015-02-18 11:36) 

羽衣

畳字連歌のご教示有り難うございました。 大変勉強になりました。
連歌的であることは極めてむづかしい日常生活ですが 折角のこの機会
少しでも風雅に近づければと念じて居ります。
今後共、お導きのほど宜しくお願い申し上げます。





 
by 羽衣 (2015-02-18 18:12) 

連歌楽歳

<3折表9治定>
 神無月つはもの一人はぐれしむ  羽衣

<3折表10付け>
 時雨るゝ野辺に斃れ伏すとも      夢梯
 西か東か梟に訊ふ
 腕組みをして気散じの盃
 国の境をやすやすと越え
 国の境を越えて帰らず

二、三日暖かい日が続き、ほっと致しております。あとひと月もすれば桜も咲き出すことでしょう。みなさまお体を御大切にお過ごしくださいませ。 夢梯

      *
以上、夢梯さまからの治定・付句とメッセージでした。


 時雨るゝ野辺に斃れ伏すとも      夢梯
冬 時雨は降り物(秋1、冬1の2句もの) 野辺は地儀 「海行かば水漬く屍山行かば草生す屍大君の辺にこそ死なめかへり見はせじ」(大友家持・万葉集)がちらちら思い浮かぶ時代になってきました。

 西か東か梟に訊ふ
雑または冬 梟は連歌の時代には雑、四季を通じての句材でした。俳諧になったのは冬。鳥類。夜分とする説もあります――「ミネルバの梟は黄昏に飛び立つ」そうですから。

 腕組みをして気散じの盃
雑 人体 ここの盃は食器ではなく飲食。「春は来たり冬は去り われらの生命の書巻もまた閉じぬ 酒飲みて悲哀を去れ 聖者も言えり悲哀の毒は酒もて解かれんと」。先ごろなくなった陳舜臣氏が青春時代に訳したオマル・ハイヤームのルバイヤートの一節です。

 国の境をやすやすと越え
雑 国郡 今のEU域内がそうですね。オデュッセイアの苦難の遍歴を思うと、別世界です。

 国の境を越えて帰らず
雑 国郡 「風蕭々として易水寒く、壮士 一たび去りてまた還らず」。荊軻のおもかげです。


by 連歌楽歳 (2015-02-25 15:24) 

如月

宗匠様、皆様、
月もあらたまり、はやくも七日になりました。たいへんお待たせいたしてしまいましたこと、申し訳ございませんでした。次々と降りかかる急用・野暮用・私用・公用(退職した身には公用も何も関係ないわけなのですが、最近少しシガラミができてしまいました)に翻弄されておりました。あと二つ、来週までの用件あるのですが、やや気持ちの余裕ができましたので、お送りさせていただきます。どんな状況にあってもさらさらと付けられるという境地には、まだまだ全く及ばない菲才です。考えれば、人生常に用事に追われているわけですから、そのなかで、心を鎮め時間を遣り繰りして付に向かいあわなくてはならないというのは、当たり前のことですのに、それができない不甲斐ないわが身が情けないです。なにとぞお見捨てなきよう、お願い申し上げます。

夢梯さまの  
   国の境を越えて帰らず
を頂戴いたしたく存じます。

それに付けまして

  残されし思ひ育てて滴れり
  産土の安らけきかと風に尋ひ
  荒海を鎮めて浪路星数多
  横笛の嗚咽幽かに築地うち
  笛の音の賤が伏屋(ふせや)のあはひより

宗匠さま、千草さま、一直、お捌き、よろしくお願い申し上げます。 如月
  
  


  

by 如月 (2015-03-07 13:11) 

連歌楽歳

退職後しばらくは、月々の給料が消えるだけで、雑用と浮世の義理は続きます。ご苦労様です。

<3折表11付け>

  残されし思ひ育てて滴れり
雑 「思ひ」とあれば連歌では恋の句になることが多いのですが、「残されし思ひ」が恋の思いだとすると、4句前の恋の句「……忘れやはする」とバッティングします。そこで一般的な「追憶」と受け止めると、この句は懐旧ですね。

  産土の安らけきかと風に尋ひ
雑 風は吹物 産土は産土神ではなく、ここでは生まれ育った土地 
  
荒海を鎮めて浪路星数多
雑 海は水辺体 浪は水辺用、浪路は旅 星は光物

  横笛の嗚咽幽かに築地うち
雑 築地は居所 嗚咽は漢語につき「横笛の幽かに咽ぶ築地うち」あたりでいかがでしょうか?

  笛の音の賤が伏屋(ふせや)のあはひより
雑 賎が伏屋は身分の低い者(人倫)の粗末な家(居所) 第9句と人倫打越になります(連歌は蕉風俳諧と違い人倫打越を嫌います)ので、「夕べ伏屋のあはいより」としませんか?



by 連歌楽歳 (2015-03-07 21:45) 

連歌楽歳

3折表にはまだ月が顔を出していません。よろしくお願いします。前方に「神無月」がありますので、「ありあけ」などにしていただくもよし、「月」で真っ向勝負の時は、「神無月」をひらがなにするお許しをいただきます。連歌は同じ面に月が重なっていても、同字5句離れていれば気にしないようです。今回は月の字が第9句にありますので、ちょっと近すぎます。
by 連歌楽歳 (2015-03-07 22:40) 

如月

宗匠さま、皆さま
おはようございます。宗匠さまの優しいお言葉に感謝あるのみでございます。拙句のお直しとご教示、まことにありがとうございました。
◦文字を書き間違えた箇所がありました。
「残されし思ひ・・」の拙句、「遺されし・・」と書いたつもりでおりました。こちらに直していただくこと、できますでしょうか。こうしますと文字通り懐旧の句となりますでしょうか。
◦また、同句の「滴れり」は、連句では「滴り」は夏の季語となっておりますが、連歌では雑なのでしょうか。
◦さらにお伺いさせていただきたいこと、ございます。「横笛の幽かに咽ぶ築地うち」とお直しくださいましてありがとうございました。元句の嗚咽(おえつ)は、漢語だったのですか。そのあたりの漢語・大和言葉の区別が、まだよくわかりません。
おついでの折に、ご教示お願いできましたら幸いです。よろしくお願い申し上げます。 如月
by 如月 (2015-03-08 09:28) 

連歌楽歳

①滴りについて
「したたり」は連歌の時代にはまだ無季の言葉だったようで、「雪融くる山のしたたり」「さみだれの軒のしたたり」「露のしたたり」「雪のしたたり」など、何かのしたたりとして春夏秋冬の季語と自在に結びついています。

②嗚咽について
社会問題を題材にすることが多かった杜甫はいくつかの詩で「嗚咽」を使っています。たとえば「嗚咽(おえつ)して涙は巾(きん)を沾(うるお)す」(「行在所に達するを喜ぶ 三首 その二」から)。連歌では何が漢語で何が和語か、なかなか判別が難しいところです。ご参考に、宗祇の漢語をちりばめた俳諧連歌百韻をメールに添付してみなさまにお送りしましょう。

by 連歌楽歳 (2015-03-08 20:10) 

千草

  横笛の幽かにむせぶ築地うち  如月

こちらをいただきます。

付け
 楓もみぢの由ありげなる      千草
 とのゐのささをあたたむるらん
 むぐらの宿を訪ふ人もなし
 ししかくまかと老のしはぶき
 立ちやすらふてきくもあやしき
 にれかむ牛の蠅を払ふ子

よろしくお願いいたします。
 
by 千草 (2015-03-11 15:12) 

連歌楽歳

 楓もみぢの由ありげなる      千草
秋 楓もみぢは木類

 とのゐのささをあたたむるらん
秋 酒を温める=燗酒は俳諧で冬の季語になっている一方、芭蕉は『奥の細道』「種の浜」の段(季節は秋)で、「浜はわづかなる蜑の小家にて、侘しき法華寺有。ここに茶を飲み、酒をあたためて、夕暮のさびしさ感に堪たり」と白居易の「林間煖酒燒紅葉」と定家の「秋の夕暮」を気取っています。白居易のこの一行は『和漢朗詠集』の「秋興」に収められていますので、古典に敬意を表して、この句の季は秋としておきましょう。なお、この句と前出「楓もみぢ…」を合わせると、おなじみ『平家物語』の「紅葉」の段のエピソードと重なります。これもまた野分のころでした(となると築地の内は高貴なるお方のお住まい)。とのゐは人倫、ささは飲み物

 ししかくまかと老のしはぶき
雑 獣類 しし(猪・鹿)は俳諧では秋、熊は俳諧で冬。季の調整が面倒なうえ、連歌では季詞には入っていないのを奇貨として、雑にしておきます。「老」が老人を意味するのであれば人倫、年寄りくさい咳払いの意味であれば、非人倫。いずれにせよこの「老」は非懐旧。

 立ちやすらふてきくもあやしき
雑 辞書によれば「立ちやすらふて」は「雪ふりたりし暁に立ちやすらひて」(源氏・幻)となるようです

 にれかむ牛の蠅を払ふ子
夏 蠅は俳諧季語の流用 虫類、獣類 人倫


by 連歌楽歳 (2015-03-11 21:42) 

連歌楽歳

千草さま、みなさま、大変失礼いたしました。一つ落としていました。

  むぐらの宿を訪ふ人もなし
雑 葎は俳諧では夏ですが、連歌では「むぐらの宿」は雑・植物(草類)に分類されます。宿は2句物(只1、旅1)で、居所。この句のむぐらの宿は、前句とのつながりで、居所+草類でしょう。人倫

また、「老のしはぶき」の「老」は2句もの(只1、鳥木に1)です。書き忘れていました。


by 連歌楽歳 (2015-03-12 12:36) 

千草

楽歳様

ありがとうございました。
もしかすると、むぐらは落第だったかもと思いましたが
セーフとのことで、安堵いたしました。

前の方で、梢風様の仰せにありました「極楽車」に揺られて
いる身としては、まことに思いつくままを申し上げ、
ただ眼前に流れる景色を喜んでいるという状況で
申し訳ないことでございます。

ご送付いただいたテキストは、むつかしゅうございました。
漢語賦し物?
詞に迷った時は
手元の角川古語辞典(巣立った子どもの本棚にありましたもの)に
収録されていれば、多分和語でしょうというようなイージーな
基準のみをたよりとしております。
今後もなにとぞよろしくお願い申し上げます。

by 千草 (2015-03-12 13:57) 

梢風


 ししかくまかと老のしはぶき       千草

   付

ともしびも益なく秋のつづれさせ      梢風
秋深みよしなしごとの返り文         〃
しぐるれば如何にと翌のもみぢ狩      〃

老いは二句物とのこと、障りあるようでしたらいずれかの若返り法など宗匠のちちんぷいぷいの魔法におすがりします。よろしくお願い致します。


by 梢風 (2015-03-21 09:14) 

連歌楽歳

 ともしびも益なく秋のつづれさせ      梢風
秋 「つづれさせ」はコオロギの鳴き声(『岩波古語辞典』では、綴り刺せ=つづりさせ)と表記。歌語としてはそれほどポピュラーなものではなかったようで、二十一代集に用例1件、連歌データベースに用例4件。いずれも表記は「つづりさせ」となっておりました。そういうわけで、古典にならい「つづりさせ」としましょう。虫類。益(えき)は漢音ですが、ここは素知らぬ顔で。ともしび(灯火)は3句もの(只1、釣りの灯、法の灯)

 秋深みよしなしごとの返り文         
秋 文は3句もの(恋1、旅1、文学1)文意からすると恋の文でしょうか。恋の句にしておきましょう。

 しぐるれば如何にと翌のもみぢ狩     
秋 時雨は2句もの(秋1、冬1) もみぢは3句もの(只1、梅・桜などに1、草の紅葉1)木類 翌は「あす」=明日。

      *
月が出ないまま3折表14がまいりました。当番の蘭舎さま、よろしくお願いします。

by 連歌楽歳 (2015-03-21 14:19) 

蘭舎

楽歳さま、みなさま

おはようございます。
申し訳ございません。当番とのことですが、この数日、多忙にまぎれて、書き込みを怠ってしまいました。お詫び申し上げます。
・・・と申しながら、「月」とのご下命ですが、よくよく振り返りますと、
月も花もと既に複数詠ませていただいています。どうぞ、ここはお当番をパスさせていただくか、順番を替えていただくか、なにとぞ、よろしくお願い申し上げます。
蘭舎 拝
by 蘭舎 (2015-03-27 07:27) 

連歌楽歳

それでは、楽歳が高校野球レベルながらも、拙速的代打。

 しぐるれば如何にと翌のもみぢ狩

をいただきまして、

<3折表第14句付け>
 寝覚めがちなる奥山の秋    楽歳
 夢にめぐらむ名所8などころ)の秋
 淡く色濃く秋のうつろひ

   *
 寝覚めがちなる奥山の秋
秋 夜分 山類 
   
 夢にめぐらむ名所(などころ)の秋
秋 夜分 名所は国郡の部類か?

 淡く色濃く秋のうつろひ


by 連歌楽歳 (2015-03-27 13:17)
by 連歌楽歳 (2015-03-27 13:57) 

羽衣

宗匠さま
月とのことで 拙句 神無月は かみなづき かんなづき 神の留守・・・
如何様にも遊ばされますよう~

前句が時雨れてしまいましたようですが

 夢にめぐらむ名所(などころ)の秋(月)  などでは? 

誠に浅はかとは存じますが 何やら責任を感じつつ
失礼申し上げます。

余談ながら 今年の桜 はや満開ですね!
明日から四月 皆さま どうぞ素敵な花の時をお楽しみ遊ばされますよう~ごめんください~
by 羽衣 (2015-03-31 19:57) 

連歌楽歳

羽衣さま
ご配慮ありがとうございます。

遊香さま
①既定方針通り秋の句を詠む②気が向けば秋の月の句にする③羽衣さまのアイディアを活用する。どうぞ、ご自由に。
by 連歌楽歳 (2015-03-31 22:19) 

羽衣

宗匠さま
流石に連歌の奥深さ 感じ入りました。
大変素晴しい勉強をさせて頂き有り難うございます。
拙案はやはり浅はかでしたので撤回させていただきます。
ごめんなさい~
  花のいろはうつりにけりないたづらに
     わが身よにふるながめせしまに・・・・・恥づかしながら

楽歳宗匠お気に入りの花の一首などご披露頂けますれば幸甚です。
今年の花の記念に!

by 羽衣 (2015-04-01 17:52) 

連歌楽歳

羽衣さま

サクラ満開のいま、これから先の数日後をよんで、この歌でしょうか。

 つけば散るつかねばすまの山寺のさくらにめでゝをそき入相  竹杖為軽

 山寺の春の夕ぐれ来て見れば入相の鐘に花ぞちりける  新古今・能因

の本歌取り狂歌ですが、「撞けば花散る」と「撞かねばならぬ」という懸念と義務の相克をなんとかしようとして、入相の鐘をいつもより遅く撞くというとぼけた解決法を選んだところが、日本の春らしい、だらっとした感じがあって、よろしいとおもいます。

by 連歌楽歳 (2015-04-01 22:08) 

遊香

少々東京を離れておりました。
陽気に誘われて小旅行、ではなく、溶けかかった雪でシーズン最後のスキーです(笑)。
それにしても、遅くなりましてすみません!
「月」に挑戦してみましたが、難しくて…

寝覚めがちなる奥山の秋

いただきまして 付け

なつかしき影を宿して月のかほ  遊香
ほれほれとかたぶく月をながめおり
事なしぶ髪をけづりて朝月夜

楽歳さま、よろしく、よろしく、
お手直しくださいますよう…!

by 遊香 (2015-04-02 14:15) 

連歌楽歳

 なつかしき影を宿して月のかほ  遊香
秋 月 光物 夜分 後に「かほ」があるので、この懐かしき影は「おもかげ」で、恋の句、同時に懐旧

 ほれほれとかたぶく月をながめおり
秋 月 光物 夜分 「ほれほれと」は放心状態でということだが、隣の人の存在すら忘れて月を眺めている姿が彷彿とし、恋の句

 事なしぶ髪をけづりて朝月夜
秋 月 朝月夜や夜分 髪は身体 朝月夜の時間帯に髪に櫛を入れて何事もない風情は、ベテラン遊女か、ひとり寝の女房か。いずれにせよ、一ひねりした恋の句。

by 連歌楽歳 (2015-04-02 20:52) 

羽衣

宗匠さま
此度は粋で素敵な本歌取り狂歌 ご教示頂き有り難うございました。

   つけば散るつかねばすまの山寺の
        さくらにめでゞをそき入相    竹杖 為軽(?)

 まっことこのイメージ 眼裏にうかびます。
それなのに拙宅近くのお善光寺さんの入相の鐘 満開すぎなのに
つかれても 全く散らないのです。朝夕六時に十回ずつ その中国訛りの寺男?さんはつかれるそうですが
うにゃ~風に散るだけさ~二十六年朝夕ついてるが~
とのこと。私もはじめから終わりまで期待して見守ったのですが
もうさあっと散ってもよい頃なのに鐘つきでは散りませんでした。
誠に色即是空 ひとの脳空間の賜物? すごい!万歳!

今年のさくらもそろそろ終章となりましたがお蔭様で大変よい記念と
なりました。それなのに何やら立て込んでしまい御礼遅くなりました。
申し訳なくも光栄に存じます。
ありがとうございました!
ステキな春休みをお過ごしください。美味しそうなケーキご馳走様です~ 


by 羽衣 (2015-04-07 01:48) 

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